翼が折れても……


「ハァハァっ、んっ、ハァハァ」


「わぁぁぁぁー!!」


バチバチバチバチバチバチ!!


「え?……何これ。」


観客は皆、スタンディング・オベーション。

うん、それは昨日と同じなんだけど。

拍手だけじゃなくて、叫び声も混じって凄い音量だ。

花やぬいぐるみがこのリンクを埋め尽くすほど投げ込まれる。


「っ!!……ヒック。」


涙が止まらない。

挨拶しないといけないのに。


「ヒック……ハァハァ……ンク。」

涙でぐちゃぐちゃの顔で挨拶した。

リンク横に向かうと高瀬コーチが満面の笑みで立っていた。


「紗羽ちゃん!!すげぇぞ!!」

「っ!!……ヒック…ヒック……ズッ。」


得点を待つためキスアンドクライに向かってる間、もう私の膝は笑っててコーチに支えられながら歩いた。


「わ、私、ミスしてないですよね?」

「あぁ!完璧だった!!」

「どうやって演技したか覚えてない……。」

「アハハッ!!
それだけ集中してたんだろ。」