ーーー全日本選手権、当日。

遂にこの日が来た。

この大会で私は、初めて優羽の上に立つんだ。

「ふぅー……。」

「紗羽ちゃん、今日のショートはいけそう?」

「白羽コーチ。……はい、いけそうです。」

何故だろう。

いつもより緊張しておかしくないのに、いつもより落ち着いている。

それにこの心臓の高鳴りは、バクバクじゃなくて、ワクワク。

「……なんか、楽しみです。」

「ふふっ、なら良かった。」

「……白羽コーチ。
今まで本当にありがとうございます。
そして、本当にごめんなさい。
逃げてばっかで戦おうとしなくて……。」

「いいのよ。
紗羽ちゃんが戦う理由を探すことから逃げないでくれて私はとても嬉しい。」

「白羽コーチ……。」

「許すかわりに金メダルをかけた紗羽ちゃんが見たいなぁー(*`艸´)ウシシシ」

……それってプレッシャーじゃない?

でも……

「はい!任せてください!!」

私だって勝ちたいんだ。