ーーー数日後
シャー……シャー…シャッ!!
シャッ……
「片手付いちゃったし、今のは回転不足取られてもおかしくないな。よし!もう1回!!」
「高さは良いから、回転を意識してみたら?」
「え!?た、高瀬さん!?」
高瀬 大樹
二年前に引退したフィギュアスケーター。
世界選手権二連覇を成し遂げた。日本の男子フィギュアスケートを牽引してきた選手の1人。今は、振付師やコーチの勉強をしている。
「紗羽ちゃんが4回転跳んでるなんてね。まぁ、でも紗羽ちゃんのジャンプの高さだったら跳べて当然かな。」
4回転ジャンプを跳べる人……。
「あ、あの!!4回転ジャンプ教えてください!!」
「うん、いいよー。」
軽っ!!そんなあっさりと。
「白羽さんにそう言われたからね。」
あぁ、そういうこと。
「さて、見せてもらいましょうか。」
「は、はい!!」
ドキドキ……。白羽コーチ以外の人に4回転ジャンプを見られるのは、初めてだ。
「ふぅー……大丈夫。」
シャー……シャー…シャッ!!
シャッ!!
よし!!
「おおー、4回転トゥループか。完璧だな……。」
シャー……シャー…シャッ!!
シャッ…
ちょっと失敗……。
「うーん、4回転サルコウは回転不足かもな。OK!!まずトゥループから。」
「え、サルコウじゃなくて?」
「いくら4回転が2つ跳べてもどちらもがまぁまぁな出来なら、一つを完璧にした方がいい。」
「そういうことですか。」
「ま、ほぼ完璧だから、サルコウもやるよー。」
「は、はい!!」
高瀬さんは、少しスパルタだった。