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シャー……シャー…シャッ!!
…シャッ!!
今日は、一心不乱にジャンプの練習をしていた。
「4回転の練習しよう。」
シャー……シャー…シャッ!!
…ドテッ!!
「っ!!……失敗した。もう1回!!」
シャー……シャー…シャッ!!
…ドテッ!!
何度やっても失敗した。……自分の心が迷っているから。
「紗羽ちゃん、ちょっと休憩しよう?」
「コーチ……。私、誰かを笑顔にできるスケートをしたい。誰かを癒せるスケートをしたい。……でも、私にはそんなスケートできない。」
「……ねぇ、紗羽ちゃん。順位ってなんだと思う?」
「え……?どれだけ上手かったか。どれだけ技術があるか。どれだけ失敗しなかったのか。」
「そうかもしれない。でも、じゃあ、どうしてトリプルアクセル飛べない人が飛べる人に勝てるの?……じゃあ、どうして優羽ちゃんは、紗羽ちゃんに勝てたの?」
「それは、優羽の方が上手かったから。」
「いくら紗羽ちゃんが手を抜いてたって、技術力は、あなたの方が上よ。……どれだけ観客を虜にしたか。それも順位が表す意味なのよ。」
「虜……。」
「あなたは、本当は人の心を動かすことは出来るわ。……やってみなさい、思うように。」
「コーチ。私は、誰かの心を動かしたい。それが順位が表す意味の一つなら、私は1位になりたい。……そうすれば、私は自信がつく。もっと、多くの人を感動させられる気がする。……それは、戦う意味にはなりませんか?」
「充分なるわよ!」
「……私、勝ちたい。」
優羽、もう私は迷わないよ。