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龍ちゃんの事故から一ヶ月が経った。
優羽は、未だに部屋から出ない。
私は、今でも龍ちゃんの病院に毎日通っている。
コンコン
「龍ちゃーん!今日は、龍ちゃんの好きなマンガの最新刊持ってきたよー!!」
「……。」
龍ちゃんは、声を荒らげることは無くなったが、声を出さなくなっていた。
……諦めたんだ。生きることを。
「あのね、今日先生がね……」
「ねぇ、紗羽。俺を殺して。」
「っ!!な、何言ってんの?」
「紗羽は、優しいから俺を殺してくれるよな?」
……無理だよ、好きな人を殺すなんて。
「龍ちゃんの求めてる優しさがそういうことなら、私は優しくなんてないよ。……スケートリンク行かなきゃ行けないから帰るね。」
……龍ちゃんの側にいるのが辛かった。
神様、今日だけは逃げることを許してください。