翼が折れても……


「初めて見たわ、紗羽ちゃんの怒ってるとこ。」

「へ…!?」

「ふふふ……。でも、良かったわ。紗羽ちゃんは、昔から感情を抑えていたから、いつか壊れてしまうんじゃないかって不安だったの。まぁ、優羽ちゃんという暴れ馬の横にいたせいなのかな……ふふふ。」

「……優羽があんな軽い気持ちでスケートやってるなんて、信じられなくて。」

「ううん、違うわ。違うっていうかそれもあるけど、龍くんを悪者扱いされたからでしょ?」

「っ……。」

涙が溢れでてきて、私の視界は歪んだ。

「……辛い恋ね。でもきっといつか紗羽ちゃんも幸せな恋ができるから。今は、泣いてもいいのよ。」

その言葉を聞くと、涙が止まらなくなった。