「来シーズンからは、シニアか。」


そう。優羽と私は、ジュニアでの成績が認められ、来シーズンからは、シニアで活動することが決まった。ジュニアの間もたまにシニアの試合には出ていたが、本格的に始めることになる。


私は、この間コーチに言われた言葉を思い出していた。


『 来シーズンからは、四回転を解禁しよう。』と。


優羽も知らないはずだ。私が四回転飛べることは。


今みたいに1人で練習していた時に、飛べたんだ。

それをコーチが見ていたらしい。


「四回転を飛んだら優羽の上に立ってしまうよ……。」


私は、怖かったんだ。優羽の上に立ってしまったら、誰からも必要とされないんじゃないかと。

まだ、春霞の中にいた私。