省吾は小さい声で遠慮がちに言った。本当に真樹とは真反対の人間と思った。そこで省吾が何故キョロキョロしていたのが分かった。目の焦点がどうもあっていなかったのだ。



「そう。結局は一緒の目的地なんだがら仲良く行きましょ!」


「ハハッ。仲良く出来るとは思えねぇけどよろしくな。」


そう言って秀哉の肩を挑発的に手で叩きスタスタと一人で進んでいった。取り残された省吾はしばらくしてトボトボと歩いていった。
私達は肩を落としながらも進んだ。
だが、こんな事があったのにも関わらず私はあのお地蔵さんが気になってしょうがない。正体がわかっても一向にあの感じが取れなかったのだ。見ていると急にこちらを振り向きそうに思えて、私は早歩きで歩き始めた。

日が少し落ちてきて夕暮れになりかけの光が木々の間から差し掛かり、風で葉が揺れる音を聞いながらしばらく歩き、ようやく目的地の「彩澄旅館跡」へ辿り着いた。