「そんなんネットの間違えだろ。アテがないならそこいこうぜ。」
もっと計画的に行きたかったがそれしか手段がないのは事実。ダメ元でも行くしかない。
「「彩澄旅館跡」は山奥にあるんでトンネルを抜けた所にちょっとしたスペースがあるっぽいんでそこに車を止めましょう。」
「そうね。わかったわ」
そのまま私達の乗ってる車は飲み込まれるようにゆっくりとトンネルへ入っていく。とても古いトンネルなせいか電気がつかないやつが多くて少し薄暗い。壁にはスプレーなどのイタズラ書きが多く、こういう所に霊がよくいるというイメージがあるので「首無しトンネル」の動画が脳裏に浮かび不気味に感じられた。意識すればする程有りもしない視線を感じてキョロキョロして少し身構える。
「....クスッ」
すぐさま後ろを振り返った。だが霊的なものはいなく、変わりにさっきまでのテンションはどこに行ったのであろう、ウトウトしてる辰吾と口を開き口角の先が痙攣し私と視線を合わせてこようとしない秀哉がいた。
その開いた口を縫い合わせてやろうかと殺意が湧いたが今は車だし、隣にはおばちゃんがいる。辰吾は勢いでやったから気にしなかったが、徐々に親に相談という名の報告をされるのが恐ろしく、下手な行動は出来なかった。
「もう出口だから皆降りる準備しといてね」



