首取り

本当に引きこもってるだけなら説得すればいい話だが、もし監禁されていたのなら犯人の目をすりぬけ、風華を解放してそれから警察へ電話する。まぁそんなに簡単なことではないが....


「じゃあ辰吾君が大丈夫そうだし行きましょうか」


「「はい!」」


辰吾を除く私達二人が大きく気合の入った返事をする。
そのそれを見た辰吾が少し顔が険しくなったのをその時の私達は気が付かなかった。


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「おお!ここが噂の『首無しトンネル』か!思った以上に雰囲気ありますな!!」


辰吾が後ろの席でテンション高く言っているのが耳障りで前からパンチしてやろうか迷った。
今いるのが最近ネットで話題になった『首無しトンネル』。だが正式名称は『彩澄トンネル』といってトンネルの入口にはうっすらだが名前が彫られていた。ふとスマホで時間を見たところちょうど四時ぴったり。今日の昼から色々あったから時間がとても遅く思えて自分の感覚的にはもう七時くらいと思っていた。


「........ダメですね。やっぱり「彩澄旅館跡」しかないです。トンネルの近くにはそれだけです。」


後ろで秀哉は難しそうな顔をしながらスマホを操作している。
風華からは大体なことで詳細は聞かされていなかったから、「彩澄旅館跡」しかないと知った時は少し驚いた


「跡...ってどういうこと?」


「いや...分からん。跡ってなるともう無いものだと思うけど....実際ここしかそれっぽいのない。」