「.....違う....」
「ん?何だ咲?なんていっ」
「違う....無事なんかじゃない....」
「え?咲ちゃん。無事じゃないってどういうことなの?」
「...確かに電話に出たのは風華です。いつも聞いてる風華の声です。でも何か違うんですよ。音が反響していたのに旅館の部屋から電話してるって嘘をつくし、いきなり旅館にしばらく滞在するなんて言い出したんです。ドッキリのことなんて...ついさっきまで忘れてたみたいに....私もう....訳が分からないです。風華は一体何を考えてるのか....」
泣きそうになりながらも訴えるようにおばちゃんと秀哉に話した。風華が変な行動をとってるのは明らかだ。秀哉もおばちゃんもさっきの晴天のような感じだったが、一気にくもりになった。
「もしかしたらだけどさ....風華は「あの女の人」に捕まってるんじゃ....」
「どういうことなの?秀哉くん?」
「あの風華がそんなこというのおかしいと思うんですよ。咲の話を聞いてる限り自分の中だとそれしか思いつかなかったんすよ。風華は周りに迷惑をかけたがらないからそれなら俺たちに被害が合わないように嘘をついてるのも辻褄が会う気がすると思うんですよ。」
秀哉とおばちゃんのやりとりを横から聞いていて自分の中で納得した気がした。
確かに風華が嘘をつく理由はそれくらいしか思いつかなかった。



