首取り

恐る恐る聞いてみると心のどこかで悟っていた返答が返ってきた。


「ん?普通に旅館の部屋にいるよ?何で?」


「いや?特に意味はないけど」


少し笑いを重ねて言ったが、ショックで頬が引きつってるのが自分でも分かった。
何で....旅館の部屋なんて絶対音なんて反響しないのに
頭で混乱していると風華が弱々しくなっている私に追い打ちをかけるようにまた言葉を放った。


「咲が来るかどうかは別として、私ここの旅館にしばらく居座ることにしたの!」


「え?...は?....なにを」


「ここの旅館凄く気に入っちゃったの!咲も気が向いたら泊まりに来なよ!きっとここが気に入るから。私これから色々やらなきゃいけない事あるから切るね。またね〜」


風華は凄い勢いで言ってきて、すぐ切ってしまった。
私はあ然としていて『ツッーツッー』と鳴る携帯の着信画面を意味もなくひたすらジッと見ていた。


「おい咲!大丈夫か?」


秀哉が後ろから声をかけてくれて、ようやく状況を理解しようと脳が働き始めた。
私は「大丈夫」とだけいって写真のカメラロールにある風華との写真をじっと見つめた。それは風華と高校入学で二人で撮った写真だ。
この時は高校入学ってことでハイテンションになっていた私達を親がこっそり隠し撮りしたんだっけ....


「それより風華が無事で良かった!最後何があったのか分かんねぇけど、無事で何よりだ!」