まぁ信じてもらえる方が無理あるよね...
じゃあ...せめて言わなければいけないことが....


「...咲。私がいなくなったら私の机の引き出しに手紙がある。今は信じなくてもいい。だけどもしもの事があったらちゃんと読んでね...」


「...もう切るね...」


プツッ...ツーツーツーツー

ため息をついた。
分かってたことだけど予想以上に心にくるものだ。

私はもう一人に電話をかけようとするが、咲と同じような感じだったら確実にKOされる。
その人の事を考えるだけで心が熱くなる。
今までどれ程咲に相談したことやら...
そのことが何年も前のように感じてしまう。

時間もまぁまぁ押してきている。
私は気持ちを切り替えて手紙とスマホとバタフライナイフをポケットにしまって、部屋を出て、鍵をしめた。

私は恵実が泊まっている一〇六号室へ向かった。
出来るだけ音をたてず、できるだけのスピードで向かった。

私の部屋と恵実の部屋は大体真反対の所にある。
旅館自体も広いので移動に時間がかかった。
人が泊まってる部屋はいくつかあたったが、数えれるレベルの多さだった。
皆トンネル目的で来たのだろうか?...

ようやく一〇六号室へこれた。
部屋からは光が漏れている。
音をたてないように戸に力を入れたがやはり鍵は掛かっている。
当然隣の部屋にも鍵はかけられている。