「ふーん」


咲は疑っている口調でそういう。
だが疑っているといっても真剣度がまるでゼロだ。


「じゃあ恵実の交通手段は?それに旅館に泊まるとしても高校生一人で泊まれる訳ないじゃん。それに対して何か言えるかね?」


少し楽しそうに言う。
今からドッキリだってことを自白させたがっているようだ。
咲は刑事ドラマをよく見ていてその影響なのだろうか、何か嘘っぽい話をするとすぐこんな感じだ。
だが私は即答した。


「交通手段はタクシーで、旅館はトンネルであった人に保護者になって貰ったんだって。」


私の即答は予想外だったのか、少し黙り込む。


「その人はどういう人?年齢は?それに窓に血がついて物音したのに旅館の人とか泊まっている人に気付かれないのはなんで?」


「うっ...そ...それは...」


その問いには何も答えられない。
私自身もすべてを把握出来てないし、今も頭が混乱している。
黙ってる私に咲は勝ち誇ったようにいった。


「いやぁ〜ドンマイドンマイ。またチャレンジしてよ。私もう切るね。また今度〜」


「いや、ちょっと待って!」


「...何?」


切ろうとする咲を急いで引き止める。
少し不機嫌そうに言った。
咲は一度決めたら折れない性格。
こうやって引き止めたりするとたまに不機嫌になるのだ。