首取り

すると実里さんは私に身を預けてくれた。
胸元が少し冷たい。涙をこぼしているのだろう。

泣き声なんて決して出さなかったし、ここまでして母を思う実里さんを私は心の底から尊敬した。
私が今までなりたがっていた自分にそっくりだったのだ。
親孝行が出来て、心も強く、決して目の前の現実から逃げない。
ダメ人間の真反対。私はそれになりたがっていた...

自分は今まで何をやっていたのだろう...
そう心の中で自分に問い詰め、自分も少し泣きそうになる。
自分自身に惨めさと怒りを感じてしまう。


「あ...あのっ...い...痛いです。」


私はハッとしてすぐ実里さんから手を離した。
...つい力を入れてしまった。
実里さんは私から少し距離を置き、慌てて頭を深々と下げた。


「あの...すいませんでした!お客様にこんなこと...」


「あっ...いえいえ!大丈夫ですよ!」


私は謝らせるためにやってないのに...
実里さんは自分も攻めすぎだよね...

少し時間を空けて、実里さんはゆっくりと頭をあげた。
その顔は少し頬が赤くて恥ずかしそうだった。


「あと......その...あんなことをさせてしまったのですが......えっと.....き、気持ちがとても楽になりました.....あの...あ....ありがとうございます。」