「餌はお恥ずかしいのですが、こっそり山の食物や生き物を頼っています。
自然も見どころなのに、ハハッ...笑っちゃいますよね。餌の為に見どころを自ら壊すなんて...お金が入ったら勿論下まで降りるのですが、入るまでは...」
辛そうにそう言う。
「食料調達は幸江さんが?」
「ええ。私はお客様の案内、犬の餌やり、ある程度の掃除、母の手伝いくらいしか出来ません。なので私はとても心苦しいです...この旅館を私達四人できりもりして、私は目が不自由...母は私の世話もしながら他の二名の指示もしつつ、人一倍頑張っています...何とかしてあげたいとおもうんですが...母を楽にすることも出来ない...こんな目では...」
自分の胸に手を置き、泣きそうに悔しそうにそう言った。
いきなりのことで私は慌てた。
「だ、大丈夫ですよ!幸江さんは貴方のことを頼りにしてますよ!」
私は思い切って実里さんを抱きしめた。
実里さんは少し驚いた表情をしていた。
私自身も何故抱きしめたのかよく理解できてなかった。
「目が見えないのにそこまでして母親を手伝う。母親の幸江さんにとってはとても嬉しい事だと思いますよ。」
今掛けた言葉がいいのか分からない。
抱きしめていいのかもわからないが、私なりに彼女の負担を...心の傷を癒そうとした。



