本当にそうなのか?

そう思ったが本人がそう言っているならそうなのだろう。
恵実との電話から何が起こっても不思議ではないと思うようになってしまう。
漫画のようなことが平然と起きてしまうと思ってしまっている。
あれは疲労とか考え事をしていたのだろう。


「分かりました...ありがとうございます。」


そう伝えると実里さんは部屋から出ようとするが何かを思い出した様子ですぐ戻ってきた。


「所で夕食の方はどう致しましょう?私の母が腕を奮ってお出ししますよ。」


楽しそうにそう言った。
だが...


「すいません。あまり食欲が湧かないので...」


「あっ...そうですか...わかりました。」


少し残念そうな実里さん。

私はここまで来るのに精神や体力を使ってとてもクタクタだが、恵実を襲ったあの女の人...あの人がこの旅館にいると思うと不安や恐怖で心が押し潰されそうになり、とても食べれる気がしない。


「露天風呂は十二時に閉める予定なので入るなら十二時前にお願いします。あと部屋の施錠はこの南京錠でお願いします。
ではこれで失礼します。」


そう言って実里さんは部屋から出ていき、静かに戸を閉めた。

さて...これからどうしていこう...
風呂に入ってさっぱりしてこようか...
いや、風呂だと完全に無防備な状態だ。
入るとしてもそれはまた後に考えよう。
まず恵実の部屋にいく。
だが正面からはあまりにも危険だ...
何か策を考えないと。

待っててね恵実...必ず助け出してあげるから。