首取り

すると突然後ろから幸江さんに背中を強く押された。俺と清水さんはその勢いに対抗出来ず、階段を流れるように落ちないように姿勢を何とか持ちこたえながら、下へと何段か降りてしまった。
振り返るとその下への道の入り口に呆然と立ち、こちらを見下していた幸江さんの姿があった。


この時。俺はただ事ではない、やばいと察したのと同時に後悔した。あの時引き返せばよかった、下心をちゃんと制御してここへ足を踏み込むんじゃなかったと....

だがその後にそれ以上に後悔することとはまだ知らなかった。この後に自分達が今まで呑気だった平和的な日常にいるから起こることがない、想像上の出来事がこれから降り注ぐことになるとは思ってもなかった。


幸江さんが地下にいる俺達を嘲笑うかのように口角を異常に上げながら、階段の入り口を塞ぐ蓋を占めている時に俺はあることに気が付いた。




包帯の隙間から見えたのは痛々しい火傷の跡だけでは無かったのだ。



幸江の目は黒が一切ない、真っ白な目だった。