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「おい。こんな所に旅館なんて本当にあるのか?」


「いや、俺の友人が一昨日くらいにそう言ってるんであると思いますよ。アイツは嘘はつかないタイプなんで大丈夫っすよ。」


そんな会話を聞きながら俺は後ろの方で清水さんが他の女子と会話している姿を見ながら歩いた。
清楚で綺麗だし、天然っというところがまた良い。完璧に好みだった。

清水さんは俺の方をチラッ見ると、わざわざ会話を中断して俺の横へ並んで一緒に歩いてくれた。


「楽しみですね。旅館もトンネルも」


「あ、あぁ。うん。そうだね。...それにしても本当に旅館なんてあるのかな?マップ見ても旅館"跡"ってなってるしな〜」


「大丈夫だよ。同じサークル仲間なんだし、彼のことを信じよ?それに...もし嘘だったとしても良い思い出になるし!」


清水さんはそう言いながら俺の手を握ってくれた。
あぁ....襲ってしまいそう。
そんな自分の欲情を何とか抑え込み、数分歩くと何やら黒い建物が見えた。


「あ?なんだよあれ?あれは....焼き焦げてねぇか?」


サークルメンバーの一人がそう言った。確かにこれは旅館とは程遠い。黒焦げになっていて、火災が起きてから大分時間が立っている風に見える。かといって工事をしている訳ではない。全焼してそのまま放っておいたという感じだった。
こんな所が旅館....いやそもそも人がいるのか?