手刀は首元に当たった。伊介の手刀が抜かれると、そこからドボドボと血が流れていく。意識は薄れ、息は出来なく、血が口にも溜まってゴボゴボと溺れているみたいになっていた。
そうか...私は死ぬんだ...大好きな人を乗っ取ったやつに...

すると伊介の様子がおかしくなっていく。血管が浮き出し、頭をガクガクと震えて、両手で頭を抑える。


「がぁぁぁぁぁ!!お、お前ッ!!まだ抵抗をおおおおお!ウギッ!ギガゴゴ...
...う....うおぉぉぉ!!もう誰も傷付けさせるもんかよぉぉぉぉ!!」


この感じ、実里の時と同じだ。秀哉が伊介の中で必死に抵抗している。秀哉はすぐ横に置いてあるナイフを手に取った。
これからすること、人の為に行動をする秀哉がとる事は大体予想が出来た。
止めたかった。だけど、私の身体はもう既に動いたとしても本当に少しだし、意識をハッキリさせるので精一杯だった。

秀哉はナイフを自分の喉へ突き刺した。そこからは大量の血が噴射され、辺り一面を血で染め上げた。伊介か秀哉かは分からないが、しばらく絶叫するとそのまま私に身をあずけるように倒れた。
まだ息があるらしくヒューッ、ヒューッと呼吸が耳元で聞こえる。


「...さ、咲。トドメを指してくれ。...お前が...終わらすんだ...」