実里さんの体がビクッとした。
実里さんはゆっくりと顔をあげる。
息が荒れていて疲れている


「はぁはぁ...す...すいません。少々疲れが出てるんですかね、少し意識がボーッとしてしまいました。すいませんがもう一度いいですか?」


疲れているとかそういう問題ではない。
明らかにおかしい...


「はい...えっと斎藤 恵実っていう若い女性今夜この旅館に泊まってます?出来れば彼女よ部屋を知りたいんですが...」


「はぁはぁ...ふぅー」


荒れている息を整えて彼女は答えた


「ええいますよ。確か夕方あたりには来ましたね。部屋は一〇六号室ですね。」


一〇六号室...そこに恵実がいる...
いや、もう移動したのかもしれない。
ここの旅館は一階建てだがまぁまぁ広い。
しかも従業員は幸江さんと実里さんと後2人だけ...
移動している可能性は充分にある。


「ありがとうございます。あと一ついいですか?」


「えぇどうぞ。」


「さっきのボーッとしていたのはいつもあるんですか?それとも最近ですか?」


さっきの実里さんは異常だと感じた。
いきなりボーッとして、息が荒くなり、遂には独り言。


「いいえ。今さっきのが初めてですね。普段は仕事中なのでこんなことなかったのですが...」