首取り


実里とは比べ物にならない怪物。知能は優れていて、力も弱っているのに実里以上。こいつを殺すこと、ましてや逃げるビジョンすら思い付かなかった。


「な、何なんだ...何なんだよ!!に、逃げ...グェッ!」


真樹が逃げようと森の方へいこうとする瞬間、伊介は大ジャンプ。私たちの頭上を越えて真樹の頭を踏み、コンクリートの地面事踏み潰した。
この出来事はあまりにも一瞬で、実里との力の差があまりにもハッキリとなっていた。

真樹が息を引き取ったのを確認すると伊介はこっちを黒い空洞を向けてニコッと笑う。
そしてゆっくりと足をこちらへ進めていく。獲物を追い詰める猛獣だ。どこにも逃げ場なんてない。後ろへ下がるしか出来なかった。

私は秀哉の手を引きながら下がっていくと、ガードレールが当たった。もう本格的に逃げられない状況になってしまった。


「...咲。俺を置いて逃げろ。俺が時間を稼ぐ。」


「嫌だ!そんなの嫌だ!秀哉も一緒に帰るんだ!!」


「へぇ〜何?お前秀哉君の事が好きなの?傷付くな〜。じゃあその人の死に様なんて見たくないよね〜」


伊介はピタッ足を止めて、大きく踏み込んだ。瞬間的に私との距離は一気に縮まり手刀で私を突き刺そうとした。
私は咄嗟に目を瞑った。もう諦めたのだ...

痛くない...それより冷たい...

目を開けてみると秀哉が伊介に背を向けて私を守ってくれていた。伊介の手刀は背中を通り越して腹から出ていた。秀哉の吐血が私にかかった。大好きな人が私の為に身体を張って、そして苦しんでいる。