「あの...お客様?荷物を置きたいのですが...」
ハッとした。
また考え込んでしまった。
「すいません。どうぞ...」
そう言って和室の隅に私は移動した。
私が退いたことを把握した実里さんは和室の戸のすぐ横に荷物を置いて、正座をした。
「部屋までの案内を完了致しました。何かご質問・ご要望ありますか?」
今の状況で質問したいことなど決まっている。
「今日泊まっている人達の中に若い女性はいませんでしたか?斎藤 恵実って言うんですが」
私は恵実を助けに来た。
だが助け出す為にはあまりに情報が少なかったし、時間も限られていた。
まず何処の部屋に泊まっているか聞かないと...
「実里さん。知ってます?」
実里さんは何も答えない。
ただ正座の状態で下を向いている。
拳を強く握っていて汗が垂れてる。
「実里...さん...?」
もう一度呼びかけるが反応しない。
何かブツブツいっている。
「が...ん...きゃ...ま...はん...べて...」
さっきまで清楚で綺麗な彼女が、まるで最愛の人が死んで精神崩壊している人のようになっていた。
様子がおかしすぎる!
「実里さん!!!!」
私は実里さんの様子が危険だと思い大きな声で呼ぶ。



