だけどこの不幸の連鎖から何故かその思考には自信が持てていない。よって力が失っていくのが怖かった。このまま目が覚めないんじゃないかと。


「や...やだ....み、実里は!まだおやすみしないもん!まだ仇...お母さんに痛い事した人殺してない。......!」


赤い炎に身体が焼かれ、激痛を感じていた中で足元に感触があった。足と手で探るとそれは倒れていた。
実里はそれを自分の母親だと確信したのと同時に、力が入らなくなり母親の横へ自分も倒れるように横たわる。
実里は手探りで見つけ出した母親の手を強く、握った。実里は先ほどまでの恐怖はもう感じていなかったし、叫び声もあげなかった。母親と一緒にいる安心感が痛感を忘れさせてくれたのだった。


「お母さん。実里、お母さんのこと大好きだよ?」


その言葉を最後に実里の意識が消えた。
だがその事には恐怖は抱いていない。実里は母親と共になったのだから、何も怖くない。母親がいつでも自分の傍にいからだ。


炎は長年囚われていた者を解放するように檻である瓶ごと首を焼いていく。そしてその焼けたことによる煙は魂が天へ逝っているとも感じさせられる。

元凶である父親も赤い救いの炎に骨を焼かれ、百三十五年にしてようやくこの世から姿を消した。