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「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!なんで!何で!!痛いよ!熱いよ!!」


実里を包み込む炎。それは今まで味わったことのない痛みだった。全身の隅々まで痛感に襲われていた。実里の中にいた人はもう出てくる様子はない。あの人は何なんだったのか、それは実里には未来永劫知ることは無い。
実里は炎の中、涙をポロポロと流した。その涙はジュゥ〜と蒸発して、煙をだす。実里が流した涙は痛みの涙などでは無かった。自分に定められた運命が辛く、苦しくて涙を出したのだった。
自分はただ良いことをしようとしただけ、昔母親から教えられた"いい事した分、自分には返ってくる"という言葉を信じて痛い事があっても我慢してきた。だが、結果どうだ。自分が味わった痛みに対して自分に返ってきたいい事と言えば狩りをしていた時に楽しかったくらいだった。
そんなの昔も今も変わらない。ランクアップなんてしていない。明らかに自分がしたいい事は全然返ってきていないのだ。
兄には冷たくされ、自分と兄と母親が何故自分の姿が変わるのかの疑問は教えてもらえず、母親は撃たれ、自分に与えられる痛みが増すだけだ。
それの悔しさと辛さが純粋で元気だった実里の心を折った。

実里は段々力が出なくなってきた。だが、実里は分かっていた。いつも痛い事された後に力がなくなっていくと、力が元通りになって姿が変わることを。