ここの旅館は木材で出来ている。旅館全体を灯油塗れにしなくても充分火は旅館を燃やし尽くすだろう。
私達は受け付け室の外へ出て、辰吾から貰ったマッチを取り出す。マッチに火が付くと受け付け室の中へ向かって放り込む。マッチに付いた小さい火は爆音と共に大きな火と化して受け付け室内を早くも飲み込み廊下にある灯油に移って行った。
廊下の奥でも爆発音が響いて、奥の方も赤くなっていく。
私達は玄関でその燃え盛る炎を見た。つい数時間前は綺麗だった所も赤い炎で一杯になっていった。
その光景は非常に神秘的で、何故か安らぎさえも感じた。



