首取り


実里が身体の主導権を握った途端、実里はこちらに向かって走ってきた。それは走ったというよりも、小走りに近いスピードだったが、私達も対してスピードが出せない。スピードとしては充分だった。
私達は実里に逃げるように白いカーテンを抜けて、白いドアを目指した。辰吾の言う通り、灯油庫のドアは開いており、何個か灯油タンクが目の前に散乱していて灯油臭かった。そしてその灯油は上の方まで続いている。
散乱している灯油タンクの空を避けながら、実里の手がもう少しで届きそうな所でスライディングでドアの向こう側に着いて、ドアをすぐに閉めた。

ガコンッという音と共にドアは占められ、そしてすぐに実里がドアを開けようと力が加わった音がする。私は必死にそのドアを押さえ込んだ。意外にもドアを抑え込むのは楽だった。実里は弱っているのもあるが、まだ愛梨が中で抵抗してくれているおかげで力がさらに弱まっているに違いない。

ここから逃げ出したい。だが、手を離せばいくら弱くとも実里がドアを開けてくる。その証拠に試しに少しドアから手を離すとすぐ開いてしまう。だから、私達がここから脱出するには一人は犠牲にならなければならないということだ。


「...皆。私を置いて逃げて。ここには一人はいないとダメみたい...」


「咲。それは駄目だ。な、何かドアを防ぐ物がある筈だ。」