だが、実里の攻撃はある程度制限されていて、辰吾はギリギリ生きていながらも実里の攻撃を受けていた。辰吾の苦痛の叫びが響き渡る。そして実里は辰吾が苦しむように手や、かかとなど、潰しても直接死にかかわらないようなところから潰していった。
私は辰吾の叫び声を無視して、弱っているおばちゃんに肩を貸して、秀哉の方へ向かった。恐らく辰吾の処理が終わったら次は私達の番だ。実里は完璧に辰吾と私達がグルだと勘違いしてる。幸江さんが撃たれた以上、弁解するのは無理だろう。
「ほら秀哉。行くぞ。早く逃げないと私たちも殺される。」
「あ、あぁ。」
秀哉は何処か暗く弱々しく返事をすると、私の肩を少し借りながら歩いた。一歩一歩踏み出す度に傷口から血が出てきて痛そうにするが、出来る限り私の手は借りたくないのだろう。本当に手を添えるくらいしか肩を借りなかった。
秀哉は辰吾の本性が分かっても、今までの辰吾との思い出がやっぱり残っているのだろう。何処か暗かった。それに風華の件もある。この短い時間で衝撃的な事が多くて、少し薄れてしまった部分もあるが、思い出すと涙が溢れてしまう。
私達はあともう少しで白いカーテンへ辿り着ける所までヨタヨタしながら向かっていくが、突然と実里の叫び声と潰す音が消えた。実里はこちらを返り血で染まりながらギロっと睨みつける。辰吾はもう姿はなく、薄っぺらい肉になり、ヒビが入って少しへこんでいる床と同化していた。



