辰吾はそう言いながらこちらへ近付いてくる。私はあまりの衝撃に辰吾が私にしたことは意識の外へいっていた。
「し、辰吾....お前....何でそんなものを持ってるんだ....それにあの灯油タンク....」
「俺はあの後、裏門を諦めて大門の所へいってそこから脱出しようと思ったんがな、絶対罠があると思って何故かクソ犬がいないから壁の近くの木に登って様子を見たんだよ。そしたら案の定、ジジイが門を出たところで息を潜めて待ってたんだよ。だから、俺はお前のカバンから持って来たナイフを使って上から襲ってぶっ殺したんだよ。んで、猟銃を奪って何か鍵があったからよ、それを奪ってお前を呼びに探したらここを見つけてよ。こっそり灯油タンクの部屋を開けてあるだけ上の方でバラまいてやったぜ。だから、あとはこのマッチで火を付けるだけでこの旅館は全焼だぜ!」
何で私のカバンから持ってきたのか本来ならキモイと思っていたが、今では"何てことをしたんだ"という感情の方が大きかった。
辰吾はマッチを私に渡して耳元で「二人で一緒に点火しような。俺達の一生の想い出に残るぜ!」と言ってきた。
幸江さんは実里をそっと横へ置き立ち上がると、こちらに涙を流しながら睨みつけてきた。
「あんた!私達を騙したね!!殺しやる!!よくも...よくもよくもよくも!!!」
さっきのやり取りで幸江さんは実里に対して愛情が芽生えたのか、想像以上の憎しみをこちらへ向けてきた。



