奇妙だが少し心温まる会話の中に一発の銃声が響き渡った。その銃声の発信源には誰も見向きはしなかった。今、この状況で銃声が聞こえることは自分達には予想外過ぎて衝撃のほうが大きかったからだ。
私の目線は実里と幸江さんのやり取りを見ているままだったが、その銃声は発信源を見なくても何を撃ったのかが理解出来た。
幸江さんの手を握っていた血がついた優しい手が離れていったのと同時に、愛梨の姿をした実里は口を限界まで開けて吐血した。幸江さんは衝撃な事過ぎて固まっていて、実里の吐血が顔に当たっても、実里の事から目を離さなかった。実里は背中を撃たれたのか、背中を仰け反った。
実里が痛みの叫びを上げるであろう前にまた銃声が響いた。それはまた背中へ直撃して、更に吐血をした後に実里は幸江さんに寄りかかるように倒れた。幸江さんは目を見開き口をワナワナとしながら、実里を無意識に抱きしめていた。
私はそれからようやく発砲音のした方へ目線をやった。そいつは白いカーテンのところに立っていて、顔に返り血を浴びていた。持っている猟銃から煙がモクモクと出ている。
実里が血を吐きながら倒れていく様を猟銃を握りながらニヤニヤしている奴の正体。
それは辰吾だった。
そしてその辰吾の横にはどうやって持ち出したのか灯油タンクが置かれていた
「ハハッ!ハハハハハ!!ざまぁねぇぜこのバケモンがぁ!!死んでろ糞野郎が!!さぁ咲、一緒に帰ろう。」



