その様子を秀哉は睨んではいたものの、悔しそうに目をそらす。幸江さんは加害者でもあり、被害者でもある。実里は加害者でしかないのだが、このやり取りを見るとあくまでも純粋。自分のやっていることは正しいと思って行動していた。
おばちゃんもそうだった。もう実里達をみて憎しみすら覚えていない様子だ。悲しみで憎しみが完全に薄れている。
私達は誰を責めて、誰を憎んでいいかも分からなかった。
そんな泣き崩れた幸江さんの様子を感じ取ったのか、実里は慌てた。犬のグチャグチャに潰した頭をどっかに投げ捨てた
「え?え?お母さん?なんで泣いてるの?やめてよ。お母さん泣かないでよ。」
実里は今までにない以上に幸江さんの手を優しく掴んだ。本当の親子のように、苦しんでいる親を慰めるように優しく握った。
「ごめんね。実里...本当にもう終わらせたいの...」
「わかったから、分かったよお母さん。痛い事した人も許すから。こんなこともうしないから。ね?泣かないでよ」
「....本当に?実里。もうこんなことしないって約束出来る?」
「うん!実里できるよ。お母さんに泣いて欲しくないもん。」
実里...最初は恐怖の対象でしかなかった。どんな屈強な男もスグに殺して、殺しを楽しみ、遂には人に乗り移るという始末。
だが、実里も元はいい子だった。純粋で親思い。外見は愛梨で少々違和感を覚えるが...
この子も利用されている中の一人なのかもしれない。
「じゃあお母さん!お兄ちゃんにも早く言いにい」
バァンッ!!



