幸江さんは顔を顰めて銃口を下げた。"これ以上変な事を言ったらただじゃおかない"とヒシヒシと伝わってくるが、私はそれをあえて無視した。
「どういうことか...説明してみなさいよ。」
「幸江さんはもうこんなことなんてしたくないと思ってるの。だけど無理矢理やられてるというこの何処へにも弱音を吐くことが出来ないのが苦しいんだ。貴女は私達に"それじゃあしょうがない""貴女は何も悪くないんだよ"って思ってもらいたいんだ。」
「そんなことない!!私はあなた達みたいな平和ボケしてる奴らを殺したって何も感じやしない!言ったでしょ?そんな感情すら今はもう捨ててあ」
「じゃあ昔はそう思ってたって事でしょ?」
幸江さんは目をピクピクと痙攣させた。私の言葉が幸江さんに届いていたのだ。
「今だって思ってる筈、"こんなこともうしたくない""普通の人のように色んなことを楽しみたい""普通に恋愛して、普通に家族が欲しい"って。心の端じゃあそう思ってるんじゃないの?
だけど子供の時に受けた虐待が心に檻をつけた。子供の時に受けたトラウマはそう剥がせない。だから源太さんに怒られた時貴女は顔を青ざめて子供時みたいにされたくないから必死に謝った。」
「何を....言ってるの?そんなの何処のルールにも適用される!自分がミスをして必死に上司に謝罪する!!子供の時のトラウマ!?そんなもんあるもんですか!!」



