カチッ


その音に私は寒気が走った。さっきみたいな発砲音が聞こえそうでドキドキした。どうやら弾切れのようだ


「そんなに撃ったっけ私?良かったわね。もう少し生きていられて。まぁ本当に数秒なんだけどね」


幸江さんは胸元から弾が既に込められているマガジンを取り出すと匠の技ですぐに交換した。そのリロードの素早さと正確さがこれまでどれ程人を撃ってきたのかを物語っていた。

リロードし終えておばちゃんの眉間に向けるが私はそれを防ぐように立ちはだかる。


「言ったじゃん!もう誰も私の前では殺させない!撃つなら私から撃てよ!」


「あんたは跡継ぎ候補で拷問にでもかけようかと思ったけど面倒だからいいわ。お望み通りに貴女から殺してあげるわ。」


少しは間を空けさせてくれると思ったが、幸江さんはなんの躊躇いもなく引き金に人差し指を添えた。


「...待ってよ。まだ質問は終わってない....」


「なに?もう私は全て言ったはずだけど?」


「いや、まだ隠してることがある!...幸江さん。あなた...何で最初"同情した"って言ったの?結局はスカウトってバラしたくせに何でそれを言ったの?」


「そんなの小学生でも分かるわ。その方が話を聞いてくれるでしょ?そのためにい」


「...本当は違うんでしょ?もしかしたらだけど...幸江さんは自分に同情して貰いたかったんじゃないの?」