首取り


それから暫くして二人は伊介を授かり、その五年後に実里を授かった。二人分食料が増えて、男の山への狩りは忙しくなり、女の家事と客相手は少しづつ厳しくなっていた。だが、そんなことを忘れられるくらい幸せに満たされていく。女は子供を、こんな生活をくれた男を心から愛した。

伊介は人をおちょくったり、人を下目で見る性格でいて、賢い子だ。そして生き物についての興味が凄く、生き物の世話をしていると思えば殴ったり蹴ったりして、こんな時生き物はどうなるのか?といった子供では考えられない残虐性を兼ね備えていた。
実里は伊介とは違ってとても明るく、いつもニコニコして旅館を走り回ってたそうよ。残虐性の暗い信介に対して明るい実里。二人は光と影のような感じだったらしいわ。だけど、実里は純粋な故に興味があるとすぐ食いついてしまう。なので信介と一緒に行動する事が少しづつ多くなり、光が少しづつ影に浸透されているようになっていた。

だが女はそれを見て見ぬ振りをした。伊介の異常性は分かってはいたものの、伊介は家族にはとても優しかった。そんな伊介の思いを踏みにじる、この幸せが崩れていくのを恐れた女は何も言えなかった。
この頃から男が山へいく時間が早くなり、そして帰りは遅くなっていた。

実里が七歳で伊介が十二歳のある日。その幸せが終わりを迎えた。