首取り

秀哉は震える足で私に手を貸しながらゆっくりと近づく。私はそれに抵抗したかった。目の前に避けては通れない残酷な運命があると感じて、進みたくはなかった。だが、私にはもう抵抗する力すらなかった。
これまでの疲労に辰吾、そして恵美の死。もうウンザリだ、もう嫌だ。
白い箱には私達は目もくれず、倒れて一つの瓶を抱きしめているおばちゃんが目に見えた。


「いやぁぁぁぁ!!風華ぁ...風華ぁぁぁあああ!!嫌だ!!私から離れないで風華!風華!風華ぁ!...」


急に私の身体から秀哉の手が外れた。秀哉はそのおばちゃんの抱えている瓶を見ると力を失ったようにその場で倒れた。大事な試合に負けたように顔を地面に擦りながら手でドンドンと思いっきり叩いた。そこからは涙が白い床を浸透していて、私は心がズキッとする。

おばちゃんの抱えている瓶には風華の頭があった。いつも見ていたあの風華の顔だった。
今にでも目を開けて私の名前を呼びそうだ。本当に死んでいるのかどうかを疑わせるほど肌はツヤツヤで、この空間にいる数多くの首のどれよりも綺麗だった。
風華との思い出が走馬灯のように掛け回られた。

風華....私.......え!!??

私は次の瞬間目を疑った。
風華の顔がだんだん歪んでいく。あの綺麗だった風華の顔に傷が増えていき、血赤が浮き上がっていく。私は手で口を塞いでワナワナ震えていることが自分でも理解出来た。それ程私にとって今見ているものはおぞましくショックなものだったから。