目の前にはここからでは分からないが、とにかく土台の上に白い箱が置いてあった。だがそれではない、私達をこんな感情にさせた原因は。

それは部屋の両サイドには階段のような土台の上に大量の大きな瓶が並んでいた。瓶というには微妙なところだ。簡単にいえばガラスの大きなコップの上に木のスポンジのような栓が閉まっているのだ。その瓶には本来は入っているわけが無いものが入っていたのだ。

その中には老若男女関わらずに人の首が入っており栓がされていた。老若男女だけではなく、綺麗な状態でマネキンのような首もあったり、実里のせいなのか顔の半分がグチャグチャになっていたりパックリと顔が半開きになっているのもあった。
その瓶には付箋が貼っていて、保管室のように日付と番号が記されていた。


「あ...あぁ......ふ...風華?いないわよね?...風華...?」


おばちゃんは心が折れていて泣きながらゾンビのようにヨタヨタと歩いて大量の首入り瓶を順から見ていく。そのおばちゃんの行動に私と秀哉はハッとしておばちゃんと反対側の瓶を探した。
ここにいないことを確かめたかった。ここにいないということは何処かに囚われているのは確実なのだから。あの保管室の遺体は首がない。つまりここにいなかったら他のところにいるのは確実。

息が荒くなり涙が出そうになる。ここまで心臓に悪い探し物が他にあるのだろうか?