その女の人を見た時、私はドキッとした。

何故なら恵実を襲ったあの女の人に似ているからだ。髪の長さから背の大体の大きさ、そして顔もよく似ていた。
だがあの女の人とは思える程肌が白くなく、とても清楚な女性だった。

その女性は壁を数回触ってこちらにゆっくり向かってきた。


「ここでいいわよ」


そう幸江さんが言うとその女性は止まる。
その女性は目を瞑っていた。


「紹介します。娘の実里です。昔のころから目が不自由になってしまったのでそこのところはご理解して頂きたいです。」


そういって二人とも頭を下げる。
だが実里さんは私より少し右の方向に頭を下げた。

本当に目が見えないんだ...


「あっ分かりました。」


そういうと実里さんは声で私の位置を把握したのか急いで私の方に頭を下げ直した。
頭を上げた実里さんは私に向かって笑顔をした。
とても可愛らしく女の私でも少しドキッとした。
だが実里さんを見るとどうしてもあの女の人が出てきてしまう。
ポケットのバタフライナイフを強く握りしめる。

私の心の中は色々な感情がごちゃ混ぜになっている。