首取り



「ウゥ...ありがとう...咲。」


「....いいってことよ。一緒に頑張ろうな辰吾。」


辰吾は泣きながらも強く私を抱きしめた。私は息が苦しくなりながらも辰吾の頭を優しく撫でてやった。昔泣きじゃくる私をお母さんがこんなことしてくれたことを思い出す。
私はお母さんになった気に一瞬だけなれた。
そう...一瞬だけ。


「だけど咲。物事には限界が付き物なんだよな。」


「え?辰吾?どいうい」


「そのままの意味さ。"首取り"は殺しのプロ。それに対して俺らはただの学生。こんなのどう考えたって勝てるとは思えない。俺たちの命は短いんだよ。俺はやりてぇ事とかあんのによ...」


「そ、そんなの分からねぇだろ!?やりてぇ事がある?じゃあやるために早くここを脱出しよう!」


「いや、脱出しなくても出来ることがあるんだよ。それには...その...きょ、協力者ってのが必要なんだよな....」


「?何だよそれ?何をしたいんだよ?何なら私が手伝ってやるよ!だからさ、早く脱」


「本当にか!?咲!!」


な、何なんだ?この歓喜あまるリアクションは...
もうこいつ数十秒前までは脱出することしか考えてなかったのに今では自分のやりたい事で頭が一杯だ。


「あ、あぁ本当だから。その代わりそれ終わったら風華と恵美を救出してから脱出するの手伝えよな?」