「あー!すいません。」


ガラガラっと引き戸をあけて受け付けの隣の部屋から大体三十代の綺麗な女性が現れた。
見た感じ女将さんなのかな?...紫色の着物が様になっていた。
大人の女って感じ...


「ようこそ「彩澄旅館」へ。私はこの旅館の女将をさせて頂いてます鈴木 幸江と申します。」


綺麗でいて落ち着いた声でそういった。
この落ち着き用だとあの女の人のことは知らないのか...


「ところで、本日は一名でお泊まりになられますか?」


「あっはい」


「そうですか...見た感じとても若いですね。....もしかしてですが貴女は学生ですか?」


疑うような声で言われた。
落ち着け...平常心...私ならできる...


「いえ。私は社会人ですよ。良く学生みたいだねって周りから言われて困っちゃうんですよね。」


そう言いながら出来る限りの笑顔を見せた。
汗をかいているのがわかった。


「そうですか...それは失礼しました。では部屋に案内します。」


私はそっと胸を撫で下ろした


「実里!来なさい。仕事よ。」


そう幸江さんが言うと幸江さんが出てきた隣の部屋から薄緑の着物を着た髪の長い若い女の人が出てきた。