「お、おい!愛梨!?しっかりしろ!」


「愛梨!愛梨!起きてよ!ねぇ!!」


私達の声にも応答せず、蘭は静かに目を閉じていて横たわっている。まるで寝ているようだった。
嫌な予感がして変な汗が出て焦る。愛梨が死んでしまうのではないかと...

さっきまでは本性を顕にした愛梨が心底怖かった。辰吾の時もそうだったが、人間を信じられなくなってしまう。
どんな嫌なやつだろうと、目の前で死んでいくのは気分が悪くなるし、愛梨のお陰で実里の命は絶命した。何人もの命を遊び感覚で奪っていった、無敵とも思えた実里が頭と身体がギリギリ繋がっている状態なことが今でも幻かと思ってしまう。
勿論、信二さんが最後のトドメを刺したのだがそれまで持ってきたのは殆ど愛梨一人の力だ。恐怖さえ抱いていたが、今ではその行動力を尊敬していた。
皆をまとめあげ、自分も感じている恐怖に立ち向かったその姿勢が今では眩しい。だけど、実里を殺したいっと言っていた所は流石に尊敬出来ないが....

秀哉が右腕を抑えながらヨタヨタと歩いてきた。さっきの音からすると恐らく何本か骨がいっただろう。
おばちゃんは少しぐったりしているが大丈夫そうだ。蘭に関しては怪我をしていてもそれどころではないだろう、友達想いな蘭の目の前で親友が死にかけているのだ。