首取り

何が何だか分からなく、困惑状態だった。
音で皆が近寄ってきて声を掛けてくれていたのが分かったが、その音ですら聞こえて来なくなってきた。身体中が内側から火を付けられているみたいな感覚に襲われる。
遂には呼吸が出来なくなってきて、釣り上げられた魚のように口を弱々しくパクパクしながら、喉を力が抜けそうな手で抑えることしか出来なかった。


な....何なのこれ?....緊張状態が急にとけたから?それにしては異常....出血しすぎたから?だけどそんなに血は出てない....あまりの痛みに耐えられなくなって気絶してしまうのかしら?....いや、さっきまで大丈夫だった筈だし....

....!まさか、死ぬの私?....痛みに耐えられなくなって気絶するんじゃなくて死ぬの!?いや!絶対にそれだけはいや!私が死ぬのは恵美の隣だけ。それ以外はないのに!これからやりたい事なんて山ほどあるのにッ!!....い....嫌だ!....死にたく....な....


意識がもう保てなくなってきて自然と瞼が塞がっていくのを感じた。そしてそのまま私は眠るようにして、意識が途切れた。


この時の私はまだ知らなかった。
次に目を開けた時にそこには地獄が待ち構えていることを。