蘭一人の力で、しかもロープを持っていたので逃げようにもヨタヨタしてしまう。それに気付いた風華の母親は私に手を貸してくれたので、蘭と風華の母親に連れていかれるように逃げていく。だが、なお一人だけ残ろうとするおバカさんがいた。
「やだよ!見捨てられるかよやっぱり!もう嫌なんだよ、目の前で死んでいく人を見んのわ!」
咲はそんな事をいって省吾の手を掴もうとするが、秀哉がそれを阻止してその手を逆に掴んで引っ張ってくる。
「は?おいやめろよ秀哉!!まだ省吾君がいるだ」
「省吾の気持ちを踏みにじることをしたいのかお前は!?俺達は風華を助けないといけないし、源太さんが来てる。ここで全員死んだら元も子もないだろ!?」
「だ、だからって...」
咲は秀哉の目に涙が浮かんでいるのに気付いてそれ以上は何も言えず、黙ってしまう。そんな様子を見て私はため息が出る。
秀哉はギリギリだけど、咲に関しては本当に感情で物事をやっていくタイプね。自分の心の中で決めたことはある程度変えないで、その道しかみない。"ある程度"は。
当初の目的、風華を助けるという決めた道に前まではそれに全力を尽くしていたのに、今では目先の人間を助けようとしている。
私はこういうタイプの人間こそ早死にすると悟った。まぁまだまともに歩けることすら出来ない私が何も言うことではないのだが....



