首取り

幸江さんは片手で首に回っている手を解こうとしながら、着物の中にもう片方の手を入れていた。


「何言ってんの!?見捨てるなんてそんなことは絶対しない!一緒に省吾君も逃げるんだよ!」


バァン!


猟銃の発砲音だ。その音はここではなく、また別の場所からだった。
だが...距離的にはだいぶ近い。すぐ右の方から聞こえた。

その発砲音を聞いた幸江さんは少し微笑む


「源太さん!!ここです!ここにいますよ!早くきて奴らを皆殺しにしてやってください!!!」


大声で叫ばれると、奥の方から走っている音が聞こえてくる。
まずい....ここから早く逃げないと....

私は蘭の手を借りながら何とか起き上がることができた。
周りを見て拳銃が落ちていないか見てみるが、何処かへ飛んでしまったのか近くには見当たらなかった。包丁はすぐ下に落ちていたので、プルプルした手で拾い上げて後ろポケットへしまった。今ここで幸江さんに包丁をもって向かってもいいのだが、生憎今の状態じゃ出来そうにないし、そんな度胸を持っている者はいないだろう。


「は、早く逃げるのよ。源太さんが来る。こいつには悪いけど、私達はやらなければいけないことがある。」


「何言ってんだよ!見捨ててたまるか!!私は省吾君を助ける!源太さんもぶっ飛ばす!」