どうすれば......いや、自分のことよりまず恵実を助けることに集中しよう...
自分のことはそれからでもできる。

なんとか頭を整理し、バタフライナイフを拾ってポケットの中にしまって、まず自分がおかれている状況を確認した。

後ろを振り向くと森林が遠くに見える。
確かそこで旅館を見つけたから...ここまで走ってきたという事になる。

驚いた...私はあんな距離を走っていたのか...

そして森林から旅館までの道を松明が照らしていてくれた。

今どき松明使うんだ...しかも今は冬の時期。そして雪が少なからず降っている。
LEDライト、せめて歴史を感じさせたいなら行灯でいいのに...

旅館の方に目を向た。
一階建ての広い旅館。高い壁で覆われており、唯一無二入れるのなら前にある大きい門くらいしかない。壁の中から光が漏れているので多分人はいるであろう。
別に荒れているといったこともない。
やはり「跡」っていうのはネットの間違えだったのだろう。とても古そうには見えない。
ここの人達はあの女の人が起こした騒動に気づいていないのか?
そんなことを思う。
恵実を助けるために、あの女の人に私が来たことをバレないように不法侵入も考えたが壁があり、門からしか入れないようになってる。
それに見つかった時が面倒だ。
恵実を助ける前にこの旅館から出禁になってしまう可能性があるし、警察を呼ばれるかも。
警察がきたらあの女の人はすぐ恵実を殺すことだろう...