首取り


「愛梨?どうしたんだよ?」


咲は真っ赤な目でこちらを見つめてきた。その目には、さっき保管室に入ろうとした意志が宿っている真っ直ぐな目はなく、今ではその意志が崩壊した後の目でしかなかった。いつも運動ばかりしてそうな男っぽい咲の弱っている一面を見て、内心フッと笑ってしまう。
私はホースを手に取ると皆に突きつけるように差し出した。


「みんな....実里を殺してみない?」


私は自然と笑みが浮かび上がった。何故なら実里を殺すのが楽しみでしょうがない。襲う側が襲われたら一体実里はどんな顔をするのか、恵美に実里を殺したことを伝えたらどんなに感謝されるか。思うだけでニヤニヤする。
そしてそんな策を思い出す自分を褒めたい。こんな素晴らしい事を考え付いた自分が今は好きで好きでたまらない。

逆に源太さんや幸江さんはどんな表情を見せてくれるのだろうか?最愛の娘が無惨に死ぬのだ。さぞかし悲しい顔を見せてくれるだろう。
だが、浮かれているだけではダメだ。"あの人"がいる。小百合の言葉を聞く限り奴は頭がいいと見た。恐らく今の感じだとイザという時以外は手出しをしなさそうだ。ただ、これも自分の見解なので充分に注意しながらやる必要がある。

今、皆は驚いていて顔から血の気がわかりやすい程引いているが百パーセント私に賛同する。だって、実里を何とかしないと...そう思っているに決まっているから....


それに....拒否する理由なんて何処にもないから。