「ま、待てよ小百合ちゃん!!落ち着いて!!....あの人って一体誰なんだ?知ってるんだろ?」
咲が近寄って小百合を宥める。小百合は息を切らしながら汗だくだった。ゼェゼェと今にでも過呼吸になりそうな呼吸を段々沈めて、さっきとは天地の差の小さい声で言った。
「...あ、あの人は私達のすぐ傍にいる。あなた達の命のコマは既に回っているの....あの人は自分の邪魔をされるととても怒るの。怒らしてはダメ。容赦なく皆殺しにされてしまいます。だから、私が名前を言ったこと....絶対に黙ってて貰えますか?」
小百合は用心深く、私達を見た。それをみた私達は全員が当然うなづいた。恐らくこの中で本当に真剣に聞いているのは、咲と秀哉と風華のお母さんくらいだろう。蘭は絶対興味本位だ。まぁそのくらいにしか脳が働かないから仕方が無いか....
私は正直あんまり興味はないが、恵美を救い出す時に邪魔されては面倒だ。知っておいた方がいい。
全員の合意をみた小百合は深呼吸した。
「では、言います....あの」
小百合があの人の名前をいい掛けたであろうその瞬間。小百合が寄りかかっていた壁が壊れたのと同時に、壁が壊れた爆音。そして、何かの物体がその壁を壊して小百合の背中へクリーンヒットしたのが一瞬の出来事だったが、何とか認知出来た。小百合は一瞬にして、その背中へ当たった物体の力に逆らえずに、小百合の目の前にあるコンクリートの壁のような冷蔵庫へ突っ込んでいった。



