首取り


「ねぇ。あんたの親ももしかしてトイレ?」


「え、えぇ。そうよ。」


「やっぱり!親が一人でトイレいったら残された私達はどうすればいいのっていう話だよね!入学生としてはちょっと辛いよね〜」


この人。私と同じ事思ってたんだ。見ず知らずの人と、全く同じ状況。入学生で、親はトイレで軽く落ち込み、体育館の隅へ移動する。
何か運命的なものを感じてしまう。この人と、この学校に来て初めての友達になれるかしら?友達なんて中学の時はあまり出来なかったから、友達作りにはあまり自信がないけれど。


「そうね。自分の席すら分からない状態で放って置かれてもいい迷惑。かと言って喋りかけるっていうのも何か気まづいわ。」


「あんたって何か「The理系!」って感じの喋り方だね。そういうの嫌いじゃないよ!」


「そ、そう?.....」


「あっ!今私のこと変なやつだと思ってたでしょ!!」


「え!?い、いやそんな事は」


「言い訳無用!そんな悪い理系女子にはちょっとしたお仕置きが必要だね!」



「え!?え?ちょ、ちょっとやめ....」


恵美は素早く私の背後に立ち、脇腹に手を突っ込み指を巧みに動かしてくすぐってくる。声が出てしまうのを必死に我慢しながら、恵美の手を離そうとするも、恵美はそれを許そうとはしなかった。結局、この入学式の前に何はしゃいだことをしているのかと第三者に思われても仕方がない攻防は数秒続いた。