「なによその返事。前みたいなノリでいいって。私、こういうホラーがガチで好きな人と会話したかったんだよ。....いるっちゃいるけど、皆遠いからね。身近に欲しかったんだよ。」
そんな私の失態を気にもせず、話しかけてくれたことに有難く、とても神々しい。
覚えていてくれたんだ前のこと。
この感じ。この人のこういうところがいいんだ。心の中でそう深々と思う。
入学当初、私は入学式に参加するため体育館内に入った。中には既に多くの人で埋め尽くされていて、凄い身体が硬直状態に陥った。そんな私を絶望へと早々導いたのは私の母だった。
「愛梨。お母さんちょっとトイレ行ってくるね。ちょっと待っててね」
その言葉を聞いた瞬間死にたくなった。なんで....なんで...っと絶望に溢れている。
一緒について行こうと思ったが、時は既に遅く、もうどこかへ消えていた。トイレの場所なんて分からない。私は仕方がなく体育館の隅で一人立っていた。自分の座る所なんて分からない。誰にも喋りかける勇気すらなかった。話しかけてくれれば....と心の中で念じているとその思いが通じたのか、私が今まで予想だにしなかったことが起きた。
「もう!何で先にトイレ行かなかったのよ!!はぁ....」
そう呟きながらこちらへ向かってきたのは恵美だった。最初の印象としては、綺麗な黒髪の破天荒という感じだった。恵美はこちらへ気付くなり、ササッとこちらへ忍び足で駆け寄ってきた。



