首取り

取り敢えず、今日は目があっただけで良かった。....幸せ。

目があっただけで幸せすら感じる私はこの後、天に昇るとは思わなかった。


「ねぇ。愛梨が読んでるのって、この前映画でやった「殺織実験台」の原作?そういうホラー系って好きなの?色んなホラー小説読んでいるの見てたんだけどさ。」


その声に落雷が落ちたかのような衝撃を受け、ドキッとする。体の火照りが止まらない。心臓の鼓動が治まらないまま、本からゆっくりと声の主の方へ視線をやる。そこには綺麗な黒髪を垂らしながら、少し口角をあげている恵美の姿があった。私の心を見通すような綺麗な目。整っている顔。みずみずしい唇。まるで神が精進込めて作った、芸術品のようなとてつもなく綺麗な人と感じる。
あの時と全く同じ、いやそれ以上の輝きがあった。


「ねぇ?どうなの?」


再び衝撃を受け、ハッとする。

は、早く答えないと....落ち着いて。ここが重要。ここでいかに話を盛り上げれるかが大切なんだから。しっかりしなさい私!!

と心の中ではそう決心はするものの、口から出た言葉は「う....うん。」としか出なかった。しかもとてつもなく弱々しい、自分が情けなくて仕方がない。折角実ったチャンスここで自らが折ってどうするの?