この広い旅館で恐怖の固体が四つ巡回をしている。
その中で安全な場所はないが、少なくとも他のところよりかは守られているところにいるから、ここにはもう来ない。っと思っているのがこの中で何人いるのだろうか?

情報収集は大切だ。だが、何故遠回りに聞くのか私には理解出来なかった。何故、秀哉は小百合の事を最初に聞いたのか、何で恵美と風華の事を聞かなかったのか、それは多分さっきの実里を連れていった時もそうだったように秀哉は強がっている。心の中で「首取り」に負けない、負けてたまるか、俺がしっかりしないとっと思っていただろう。
だが、やはり心を制御するのは難しい。餓死状態で目の前に猛毒のフグが置かれているとして、あと一日経てば普通の飯が食べれるというのに、そのフグに手を出してしまう。もうどうでもいいやという心の弱さ故にだ。心の誘惑には誰にも勝てない。制御しているつもりで、私達は誰も制御なんて出来ない。
秀哉は本当にいい人だろう。周りを気遣い、本気で応援、泣ける人。だから、女の子が死にかけでもスタンガンを出して強気になっても、その優しい部分が次第に出てきている。苦しんでいる女の子を少しでも楽させたい、助けてあげたいが為に質問した。

ここは安全何かじゃあない。敵地だ。まだ奇跡的に見つかっていないだけだ。恵美と風華の件もそうだ、今どんな状態か何もかも分からないのだから小百合の気持ちが変わる前に聞いておいた方がいい。